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【高校物理】重力環境下での慣性運動と力

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計をやっていますT.surfと言います。

 

機械設計をやっている管理人が
本記事で、以下をわかりやすく解説します。
【高校物理】
重力環境下での慣性運動と力

 

⇩本記事を以下の方におススメです⇩


 

物理の基礎が
わからない

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

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管理人T.surf

前回は宇宙空間での
力の解説をしました。
今回は地球上での
力を解説します。

 

 

地球上での物体を動かす力

以下の第4回までの記事で

⇩慣性運動と力の基礎 まとめ記事です。⇩

無重力環境である宇宙空間で
物体に力を与えた場合の到達速度について
解説しました。

 

―物体を動かすためには―

宇宙空間では物体を動かすためには加速力だけ
与えてやれば、後は慣性運動で永遠に等速直線運動を
していきます。

しかし、
地球上ではそうはいきません。

 

なぜなら
我々は地球の重力で強制的に地表に接しさせられています。 

従って、重力基因による負荷も考慮しなくてはいけません。

 

宇宙では無重力ですので 上も下もありません。
なので垂直運動水平運動といった区別がありません。


しかし地球上では重力により上や下の概念があります。
上や下の概念から垂直運動水平運動があります。

 

宇宙空間ではまったく意味のない
垂直運動、水平運動の概念は 

重力のある地球上では重要な区別
になります。

 

なぜなら、物体を動かす際に
垂直運動は、重力が外部の負荷(邪魔をする)
水平運動は、摩擦が外部の負荷(邪魔をする)
となります。

 

重力と摩擦力では、
負荷の大きさが違います。

 

 

垂直運動

垂直運動とは物体を持ち上げる場合などです。
この場合 外部の負荷は重力ですよね?


上記の図ではM‹Kg›の物体を持ち上げるためには
以下の力が必要となります。

  • 重力に対抗する力(以降 対重力)
  • 上方向への加速力

宇宙空間では一度加速された物体は
永遠に等速直線運動をします。

 

しかし、地球上では重力があるため、

上方向に永遠に等速直線運動をさせたければ、
加速が終わっても常に

  • 重力に対抗する力(対重力)

を加えてあげなければいけません。

重力に対抗する力(対重力)が無くなった途端
落下し始めます。

対重力は重力に対抗する力なので
数値としては同じとなります。

 

重力(=対重力)Fg‹N›は以下の計算となります。

Fg=M×g

対重力 Fg ‹N›

物体の質量

M ‹Kg›
重力加速度 g(=9.8) ‹m/sec²›

 

重力と重力加速度に関しては、以下の記事を御参考
にしてください。

 

つまり、垂直に物体を持ち上げる場合

地球上で物体を垂直運動させる際に必要な力Fv‹N›は
以下の式となります。

Fv‹N›=加速力‹N›+対重力‹N›
となり、以下の式にまとめられます。

FvN›=Ma+Mg

物体を垂直に
持ち上げる力
Fv ‹N›
物体の質量 M ‹Kg›
加速度 a ‹m/sec²›
重力加速度 g(=9.8) ‹m/sec²›

 

なお、一度持ち上げた後 所定の高さで停止させるには
等速直線運動の後に減速をさせる必要があります。
(減速も加速運動の一種)

 

 

水平運動

水平運動とは物体を水平に押す運動です。
この場合の負荷は摩擦となります。

上図では 物体を水平に押すためには
以下の力が必要になります。

  • 摩擦に対抗する力(以降 対摩擦力)
  • 水平方向の加速力

宇宙空間では一度加速された物体は
永遠に等速直線運動をします。

 

しかし、地球上では重力により
地表に押し付けられ摩擦があります。
そのため

水平方向に永遠に等速直線運動をさせたければ、
加速が終わっても常に

  • 摩擦に対抗する力(対摩擦力)

を加えてあげなければいけません。

 

摩擦に対抗する力(対摩擦力)が無くなった途端
停止し始めます。

対摩擦力は摩擦力に対抗する力なので
数値としては同じとなります。

摩擦力(=対摩擦力)Ff‹N›は以下の計算となります。

Ff=µ×M×g

対摩擦力 Ff ‹N›

物体の質量

M ‹Kg›
重力加速度 g(=9.8) ‹m/sec²›
摩擦係数 µ 無次元

 

つまり、水平に物体を押す(もしくは引っ張る)場合

地球上で物体を水平運動させる際に必要な力Fh‹N›は
以下の式となります。

Fh‹N›=加速力‹N›+対摩擦力‹N›
となり、以下の式にまとめられます。

FhN›=Ma+µMg

物体を水平に
押す力
Fh ‹N›
物体の質量 M ‹Kg›
加速度 a ‹m/sec²›
重力加速度 g(=9.8) ‹m/sec²›
摩擦係数 µ 無次元

 

摩擦係数は何と何による摩擦かによって違うので、
試験的に計測しないとわかりません。

 

しかし、例えば機械設計であれば
通常は0.1から0.3の間で計算ます。

 

しかし、皆さんが問題を解くにあたっては、
問題に摩擦係数は◯◯とする
などと指定されていることでしょう。

 

 

重力と摩擦力

先ほど 機械設計では
摩擦係数を0.1〜0.3で計算すると解説しましたよね?

 

みなさんの物理の試験でも、
摩擦係数は1より小さい数字となるはずです。

 

なので、
摩擦力は重力に比べて、
とても小さいのです。

 

皆さん経験があるかもしれませんが、

スライド機構(車輪など)のある
本がぎっしり入った重い本棚の場合、
水平スライドであれば一人でも動かせるのに、



一人では持ち上げられない理由がこれです。

  

⇩慣性運動と力の基礎 まとめ記事です。⇩

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