機械設計者が教える わかりやすい数学、物理、化学

現役機械設計者が中学生や高校生に向けて、数学、物理、化学をわかりやすく教えます。

MENU

【高校物理】気体の性質とモル数と状態方程式

本ブログの御訪問ありがとうございます。
機械設計をやっていますT.surfと言います。

 

機械設計をやっている管理人が
本記事で、以下をわかりやすく解説します。


【高校物理】
気体の性質とモル数と状態方程式

 

⇩本記事を以下の方におススメです⇩


 

気体だけなんで
モル数とか
気体定数とか
状態方程式とか
あるの?

 

⇩本記事を読むと以下が わかります⇩

f:id:tsurf:20210611183707p:plain

管理人T.surf

気体の性質は
液体と固体とは
あきらかに
違う性質があります。

 

 

結論

物質の状態には 
固体 液体 気体
という3つの状態があります。

 

固体になるにしたがって分子の運動が
収縮し一点になります。

気体になればなるほど、分子の運動が
激しくなり拡散します。



よくある解釈として

  • 低温で固体になり、
  • 高温になると気体になる

と思っているかもしれません。

 

確かに
低温では分子の運動エネルギーが少なくなり分子の運動が収束
高温では分子のエネルギーが大きくなり分子の運動が拡散
となります。

 

しかし 個体や液体 気体の状態はあくまで
分子の運動が収束しているか拡散しているかであり、
温度はその要因の1つでしかありません。

 

例えば、
固体は分子の運動が1点に収縮した状態ですが
何もそれは温度だけが要因なのではありません。

超高圧な環境では、温度に関係なく1点に収縮します。

つまり・・・

  • 超高圧下では高温で氷になる場合もあります。
  • 逆に圧力が低いと低温で沸騰します。
    気圧の低い富士山では80℃で沸騰したりしますよね?

 

 

気体の面白い性質

固体 液体 気体の3相の内
気体状態は少し変わった特性を持っています。

物質の分子にエネルギーが多くある状態で
飛び回っている状態であり、
固体や液体と違い分子間の距離が結構あります。

 

なので、気体は圧縮すると
体積が劇的に小さくなり、その分圧力が劇的に上がります。

 

しかし、固体や液体はもともと分子間の距離が小さいため
圧縮しても気体ほど劇的に体積は小さくなりません。

 

 

気体の状態方程式

気体は圧力と体積、温度と言った要素が
以下の式で成り立つ性質があります。

PV=nRT

これを気体の状態方程式といい、

圧力 P 単位:Pa
体積 V 単位:m3

温度
詳しくは後述

T 単位:K
モル数
詳しくは後述
n 単位:mol
気体定数
詳しくは後述
単位:Pa・m³ (K・mol)

となります。

 

 

温度についての補足

温度には2つの単位があります。

  • よく使う摂氏 単位:℃
  • 絶対温度 単位:k(ケルビン)

摂氏は水が氷る温度を0℃としている温度表記です。

 

ですが、絶対温度とは全ての分子が停止(1点に収縮)
する温度-273℃を0k(ケルビン)としている温度表記です。

 

物理や化学の計算では絶対温度を用います。

 

 

モル数とアボガドロ定数

先ほど御紹介した式のnはモル数と解説しました。
モル数を説明する前に気体の面白い性質を
説明しなくてはいけません。

 

気体はどういったわけか気体を構成する原子
(もしくは分子)の大きさに関わらず、

同じ圧力、温度 体積のもとでは
同じ数詰め込まれています。

気体分子(原子)の大きさに関わらずです。
以下のようなイメージです。

不思議ですね。

 

ということで、以下の条件の場合

  • 1気圧の圧力
  • 0℃の温度
  • 22.4Lの体積

であれば
必ず6.02×1023の気体分子(原子)が含まれてるのです。

 

この6.02×1023という数字を
アボガドロ定数と言うとともに

この数を1モルと表現します。

 

 

気体定数

気体定数とは理想気体における
状態方程式の定数です。

R=8.31×10³ Pa・m³/(K・mol)

気体定数は単位の表現が豊富で一例として

Pa=N/m²ですので

R=8.31×10³ N・m/(K・mol)
と表現する場合もあります。


この気体定数の存在と状態方程式見ると
あくまで

  • 圧力
  • 体積
  • 分子数
  • 温度

に状態が左右されているのであって
分子の大きさや原子の大きさは関係ない事に
なりますね。

 

 

理想気体

確かに気体の状態は分子の大きさによらず
一定の性質を示します。

ですが、さずがに極限状態ではそうもいきません。
その極限状態とはどういった状態か?


超高圧や超低温など
分子間距離が縮みきるような環境下です。

さずがに分子間距離が近くの分子と隣接する状況下では
体積に影響が出てきます。

 

このように、気体の状態方程式は
通常の気体では超低温化 超高圧化において
成り立たなくなります。

 

ですが、気体の状態方程式は、
分子(原子)の大きさに関わらず、

どんな超低温化 超高圧化における極限状態
でも気体定数に比例して状態方程式が
成り立つことを前提としてます。
(もちろん極限状態では成り立ちませんが)

 

このどんな超低温下 超高圧化のおいても
状態方程式が成り立つ気体を
理想気体と言います。

 

 

状態方程式の利用上の注意

つまり、先述の気体の状態方程式である
PV=nRT

は理想気体でのみ成り立つものであると
言えます。

 

ですが、現実の気体が理想気体と著しく
異なってくるのは極限状態のみとなり、

通常扱う環境下では、
現実の気体≒理想気体
となり、

精度よく成り立ちます。

 

つまり、気体の状態方程式を使う際の注意は

  • 状態方程式の対象物は理想気体であるが・・・
  • 通常の環境下では理想気体≒現実の気体
  • 極限状態では成り立たない

ということを理解することです。

 

本ブログの文章や画像の無断転用を禁止します